預託金返還が狙いでもゴルフ会員権の譲渡は売買契約と判決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:02/21/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 ゴルフ会員権の第三者への譲渡が消費税法上の資産の譲渡に該当するか否かの判断が争われた事件で名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は、会員権の売買契約と評価されるべきものであり、その対価である代金は消費税の課税標準とされるべきであると判断して、納税者が求めていた課税処分の取消請求を棄却した。

 この事件は、ゴルフ場経営会社を相手に預託金返還請求訴訟を提起した原告(納税者)が、同社との間でゴルフ会員権を第三者に譲渡し、その譲渡代金の支払いを受ける旨の裁判外の和解を成立させたことが発端になっている。これに対して、原処分庁が資産の譲渡に当たると認定して消費税、地方消費税の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者がその取消しを求めていた抗告訴訟の事案だ。

 納税者は、和解に基づくゴルフ会員権の譲渡は実質的には預託金の返還であるから、消費税の課税対象にはならないと主張していた。つまり、ゴルフ会員権の取引は売買契約を仮装したものであり、当事者の真意は預託金の返還にあったというわけだ。

 これに対して判決はまず、預託金の返還請求は単なる契機としての意味しか持ち得ないと指摘。というのも、最終的に原告とゴルフ会員権取引業者との間で会員権の売買をすることでゴルフ場経営者との紛争を終了させる合意がされていたからだ。その結果、ゴルフ会員権の取引が通謀虚偽表示によって無効と認めることはできないとも指摘。結局、その法形式通り、会員権の売買契約であると評価されるべきであり、その対価である代金は消費税の課税標準とされると判示して原処分はすべて適法であると判断、棄却した。

(2005.08.31 名古屋地裁判決、平成17年(行ウ)第5号)