請負代金の消費税の課税仕入れの時期は物の引渡日と裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/05/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 賃貸用建物の竣工、引渡しを受ける前に支払った請負代金やコンサルタント業務の委託料に係る消費税の課税仕入れの時期は、代金の支出時か建物の引渡時かが争われていた事案で、国税不服審判所は建物建築契約にあっては建物の引渡日とする一方、コンサルタント契約にあっては役務の提供が全部完了した日と判断、審査請求を棄却した。
 この事案は、不動産賃貸業を営む請求人が賃貸用建物の建設に際して、建物の引渡しを受ける前に支払った請負代金、コンサルタント業務委託契約の委託料に係る消費税相当額を仕入税額控除した上で申告したことが発端になったもの。原処分庁がこれに対して、その支出は単なる中間金にすぎず課税期間の課税仕入れに係る対価とは認められないと否認してきたことから、修正申告に応じた後、改めてその取消しを求めていた事案だ。
 請求人は、課税期間に支払った賃貸用建物の建設工事に係る工事着手金、コンサルタント契約の契約金等を建設仮勘定に経理しており、そうした場合の消費税の課税仕入れの時期は建設仮勘定に経理した日と解すべきであると主張した。
 これに対して裁決は、請負契約に基づく建築工事など物の引渡しを要するものの課税仕入れの日とは、その物の引渡しを受けた日であると解釈。また、請負契約の内容が設計・作業管理等が目的の場合の課税仕入れの日とは役務の全部の提供が完了した日とするのが相当であるとも解釈。その結果、建物の引渡しやコンサルタント契約に基づく役務の提供が完了したのは本件課税期間ではなく翌課税期間であると指摘、請求人が仕入税額控除した課税仕入税額は翌課税期間に係るものであると判断、納税者の主張を棄却した。
(国税不服審判所、1999.9.16裁決)