歯科技工業をサービス業と判断、控訴審は納税者敗訴
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/14/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の簡易課税制度を適用する際の業種区分の判定をめぐって、歯科技工業が製造業(第三種事業)に当たるかサービス業(第四種事業)に当たるか否かの判定が争われてきた事件で、名古屋高裁(田中由子裁判長)は納税者の主張を認容した一審の名古屋地裁判決を取り消してサービス業に当たると判断、納税者敗訴の逆転判決を下した。

 この事件は、消費税の簡易課税制度を選択した納税者が自ら営む歯科技工業が第三種事業(製造業)にあたる判断して、みなし仕入率70%を適用して申告したところ、原処分庁がサービス業(第五種事業)にあたると否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分を打ってきたため、その取消しを求めて提訴されていたもの。

 一審の名古屋地裁は、通常の用語の使い方によれば、サービス業が非物質的な無形の役務を提供するのに対し、製造業は物質的な有形物を給付するものであることから、歯科技工業をサービス業と分類することには合理性がないと判示、納税者の主張を全面的に認容する判決を下した。

 これに対して控訴審は、第三種事業や第五種事業に属する事業の内容を明らかにした定義規定がないことを指摘すると同時に、製造業やサービス業の用語例が広辞苑や大辞林をひもといても一義的に解釈することが可能なほどに明確な概念になっていないとも指摘。その上で、日本標準産業分類に代わり得るような普遍的かつ合理的な産業分類の基準はなく、同分類によることの合理性は否定できないと判示した。

 一審は日本標準産業分類によって一律にサービス業に分類するのは誤りと判断したが、控訴審は、日本標準産業分類に基づいてサービス業と判断した原処分は妥当である旨の逆転判決を下したわけだ。

(2006.02.09 名古屋高裁判決、平成17年(行コ)第45号)