消費税の免税点は消費税相当額を控除せずに計算で確定
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/01/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 現在、消費税の徴収納付が免除されるいわゆる免税点といわれる課税売上高は3000万円から1000万円に引き下げられている。この免税点が3000万円だった当時、その課税売上高を消費税相当分を含めたままで計算するのか、それとも控除した上で計算すべきか否かの判定が争われた事件で、最高裁(濱田邦夫裁判長)は消費税相当額を控除せずに計算するのが妥当と判断した1、2審の判決を支持、納税者の上告を棄却した。

 この事件は、免税業者になるか否かの判断をする基準期間の課税売上高から消費税率の3%分を控除すると3000万円を切るため、消費税の納税義務が免除されると判断した納税者が申告しなかったことが発端になったもの。

 これに対して原処分庁が更正決定の上、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者が課税処分の取消しを求めて提訴したわけだが、1、2審とも国側の主張を認める判決だったため納税者が上告していたという事案だ。納税者は上告審まで一貫して、基準期間の課税売上高の判定の際に、免税事業者であった者と課税事業者であった者とを別個に取り扱う必要はないと主張してきた。

 これに対して最高裁は、基準期間の課税売上高は消費税の納税義務が免除される小規模事業者に該当する否かを判定する基準であり、事業者の取引の規模を測定し、把握するためのものに他ならないと指摘。その結果、消費税の納税義務を負わず、課税資産の譲渡等の相手方に自らに課される消費税相当額を転嫁すべき立場にない免税事業者に対して、消費税相当額を控除することを法は予定していないと判示して、上告を棄却している。免税点が1000万円に引き下げられた今、小規模事業者には厳しい確定判決となった。

(2005.02.01 最高裁第三小法廷判決、平成12年(行ヒ)第126号)