マネキンに支払った金員は給与等に該当すると判断、棄却
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:10/21/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 百貨店等内の小売店の販売員いわゆるマネキンに支払った金員が給与等に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、使用者の指揮命令の下、労務の対価として支給されたものであり給与等に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、百貨店の物産展で弁当等調理食品の販売等を業とする審査請求人が弁当の販売を行うマネキンに支払った金員を、原処分庁が給与等に当たることから消費税法上の課税仕入れに該当せず、源泉徴収義務があると認定、消費税等の更正処分等並びに源泉所得税の納税告知処分等をしたため、給与等に該当しないこと等を理由に、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり請求人は、マネキン紹介所等からの紹介で役務の提供を行った販売員は販売業務に必要なエプロン等を用意し、他者をして代わりに販売に当たらせることができるなど、業務委託契約に基づき役務の提供を行っていたのであるから、給与等には該当しない旨主張して、その取消しを求めたわけだ。

 しかし裁決は、給与等の本来の性格を解釈した上で、各販売員が販売業務を行う際に必要とされるエプロン等については請求人が用意したものではなかったことが認められるものの、各販売員は、1)請求人の指揮監督を受けるとともに、2)時間的拘束を受け、3)役務の提供の代替が認められていなかったこと、さらに各販売員の役務提供に至る経緯等を併せ考慮すれば、各販売員に支払われた金員は、1)いずれも雇用契約に基づき、2)自己の危険と計算によることなく、3)使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として支給されたものであるといえることから、給与等に該当すると認められると判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2014.02.17裁決)