40年に1度の立木の譲渡でも事業にあたると裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/29/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 立木の譲渡が消費税等の課税対象になるか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は山林の反復、継続的な育成、管理が行われていれば、事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、農業と不動産貸付業を営む個人の消費税の課税事業者が立木の譲渡を行ったのが発端。立木の譲渡に伴う山林所得に対して、審査請求人は概算経費控除(措法30条)を適用して所得税の確定申告をしたところ、原処分庁が事業として対価を得る資産の譲渡等に当たると認定、消費税等の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 審査請求人は、課税処分の対象となった立木の譲渡は40年間一度もなく今回が初めての譲渡であり、反復・継続したものではなく、反復・継続的に育成・管理していたともいえないことから、事業として対価を得て行う資産の譲渡には当たらないと反論、課税処分の取消しを求めていた。

 しかし裁決は、山林の育成は長期間を要するのが通例であり、消費税法2条1項8号の「事業として」に該当するか否かの判断は、伐採や譲渡の反復性・継続性のみだけの判断ではなく、伐採や譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合いも加味して総合的に判断すべきであると解釈。

 その解釈のもとに、請求人が森林施業計画を定期的に作成して市町村の長に認定を求めていた事実や、森林組合の総務部長の「手入れがされていたことがはっきりわかる」という申述から、立木の譲渡は森林施業計画に基づいて反復・継続的な育成、管理が行われていたと認定、審査請求を棄却する判断を下した。 

(国税不服審判所、2003.12.17裁決)