破産管財人に消費税の申告納税義務があると判断、逆転判決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:09/09/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 破産財団(破産管財人)に消費税の申告納税義務があるか否かの判断が争われた事件で、名古屋高裁金沢支部(渡部修明裁判長)は、破産財団が破産法人の基準期間における課税売上高を引き継がない別の法的主体であるということはできないから、消費税法の課税実務上も破産財団の課税資産の譲渡等に係る消費税の申告納税義務は破産管財人が負うと判断、国側勝訴の逆転判決を言い渡した。

 この事件は、破産財団(破産管財人)に消費税の申告納税義務があると判断、破産管財人に消費税の決定処分、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、破産管財人がその取消しを求めて提訴したことが発端。原審の福井地裁は、破産財団は消費税法上、人格のない財団ととらえることができ、破産会社と破産財団は別の法的主体であるから、破産会社の基準期間における課税売上高を引き継がないと指摘した上で破産財団(破産管財人)に消費税の申告納税義務はないと判示、破産管財人に軍配を上げた。そのため、原審の判決内容を不服とした国側が控訴して、原審判決の取消しを求めていたという事案だ。

 控訴審はまず、破産会社と破産財団を別の法的主体であると考えることはできないと原審の判決を一蹴。別の権利主体である事業者と考えると、消費税の納税義務を負わないことになる結果、財産を換価した際の消費税額が国に納付すべきものであるにもかかわらず破産債権者への配当原資に当てられるのは消費税法の趣旨に反すると指摘、破産管財人が消費税の申告納税義務を負うと判断して国側勝訴の逆転判決を言い渡した。課税実務を優先した考えに基づく判決といえるが、これを不服とした破産管財人は上告した。

(2008.06.16 名古屋高裁金沢支部判決、平成19年(行コ)第17号)