免税事業者の売上総額に消費税額は存在しないと判示
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:02/15/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 基準期間における課税売上高が3000万円未満の事業者は免税事業者を選択でき、消費税の納税義務が免除される。この課税売上高を算定する際に、消費税相当額を控除して計算するのか否かが争われていた事件で、東京地裁(富越和厚裁判長)はもともと控除すべき消費税額は存在しないと判示、納税者の主張を全面的に斥けた。
 この事件は、基準期間において免税事業者に該当した法人が売上総額として3052万9410円を収受したものの、基準期間における課税売上高は3000万円以下だったことから免税事業者であると判断、消費税の申告・納付をしなかったことが発端になっている。しかしながら、原処分庁が免税事業者には該当しないと判断、無申告加算税の賦課決定をしてきたため、納税者がその取消しを求めていたという事案だ。争点は、課税売上高の計算の際に売上総額から課税資産の譲渡等にかかる消費税額を控除すべきか否か、つまり、免税事業者の場合、その消費税が課されるか否かにあった。
 この争いに対して、東京地裁は、税抜売上総額とは売上総額から課税資産の譲渡等に課されるべき消費税額を控除した金額であると解釈。その結果、基準期間における課税売上高の計算においては、売上総額として収受した金額から控除すべき消費税額は存在しないとともに、売上げにかかる税抜対価の返還等の金額の合計額もないことから、課税売上高は3000万円を超えていると原処分と同様に認定、原告の取消請求を棄却している。原告はこの判決を不服としてさっそく控訴した模様だ。
 (1999.1.29東京地裁判決、平成9年(行ウ)第121号)