弁護士会に支払われる受任事件負担金は役務の提供の対価
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:08/09/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 弁護士会が設置する法律相談センターを通じて会員の弁護士が事件を受任した場合に弁護士会に支払いが義務づけられる受任事件負担金等が消費税の課税対象になるか否かの判断が争われた事件で、京都地裁(瀧華聡之裁判長)は役務の提供として課税標準になると判示、弁護士会側が求めた課税処分の取消請求を棄却した。

 この事件は、弁護士会が設置している法律相談センターから紹介された弁護士が、申込者から事件等を受任して顧問契約を締結した際に、弁護士会への支払いが義務づけられている負担金(受任事件負担金)等が消費税の課税対象に当たるか否かの判断が、国税側と弁護士会側との間で争われていたもの。弁護士会側は、受任事件負担金は弁護士会の会費に該当するため対価性は否定されると主張して、課税処分の取消しを求めていた。

 しかし判決は、各弁護士は弁護士会の事務処理という役務の提供によって受任の機会を得たため、反対給付として受任事件負担金を支払うこととされており、役務の提供と受任事件負担金との間には明白な対価関係があると認定。また、機会の提供を役務の提供と考えることに何ら理論的に問題がなく、受任事件負担金を徴収される弁護士が機会の提供を受けた者の一部に限られるとしても、そのことで反対給付が否定されることはないとも指摘した。

 つまり、受任事件負担金は役務の提供に対して受ける反対給付であるから対価性があり、役務の提供は対価を得て行われたものであるという判断だ。結局、役務の提供は消費税の課税対象である「国内において事業者が行った資産の譲渡等」(消法4(1))に該当するため、役務の提供は課税対象になるとともに、受任事件負担金は課税取引の対価であることから課税標準になると判示して、弁護士会側の請求を悉く斥けている。

(平成23年4月28日京都地裁判決、平成19年(行ウ)第48号)。