個別対応方式の課税仕入れの用途区分に誤りはないと裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:05/15/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 課税仕入等に係る仕入税額控除計算の際に個別対応方式を選択していた薬局の申告をめぐり、課税仕入れの用途区分に誤りが有ったか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は一括仕入れの調剤薬品等の仕入れを共通売上対応分であるとした用途区分に区分の誤りはないと判断、原処分を全部取り消した。

 この事案は、薬局を営む同族会社である審査請求人が消費税の課税仕入等に係る仕入税額控除の計算に当たって個別対応方式を選択して申告したことが発端になったもの。この申告に対して原処分庁が、個別対応方式における課税仕入れの用途区分に区分誤りがあると認定して更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、薬局側がその取消しを求めて審査請求したという事例だ。

 原処分庁は、消費税法30条2項の課税仕入等の税額の計算を行うに当たって個別対応方式を選択して申告している請求人が、共通売上対応分とした調剤薬品等の仕入れの中に課税売上対応分があったとしても、その売上げは本来の目的とは別途に事後的に発生するものであるから、課税仕入れを行った日の状況においては非課税売上対応分とすべきであると主張、審査請求の棄却を求めていた。

 これに対して裁決は、調剤薬品等のほとんどは非課税売上げとして扱われているものの、現実的には1)同業の他の保険薬局への小分け販売、2)医師の指示書による販売、3)患者負担10割の自費診療によって課税売上げとなる販売も発生していることから、仕入時点における区分は課税売上げのみ、非課税売上げのみに要する課税仕入れとは認められず、共通売上対応分の課税仕入れとするのが相当であると判断して原処分を全て取り消している。

(国税不服審判所、2006.02.28裁決)