納税義務者として支払う軽油引取税相当額は課税仕入れの対象外
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:08/07/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 軽油引取税の特別徴収義務者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額が、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等に支払った軽油引取税は課税仕入れに係る支払対価には該当しないものの、特別徴収義務者に該当しない特約業者等に支払った軽油引取税は課税仕入れに該当すると判断、一部の取引に対しては原処分を全部取り消す裁決を下した。

 この事件は、軽油の購入額の全額を消費税の課税仕入れに係る支払対価の額として確定申告したところ、原処分庁が軽油の購入額のうち軽油引取税名目による支払額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとして更正処分等をしてきたため、審査請求人がその全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 これに対して裁決はまず、納税義務者の租税の支払いは課税仕入れに係る支払対価に該当せず、軽油引取税を納税義務者として支払う場合は軽油引取税に相当する金額は課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないと解釈。その上で、軽油引取税を定めた地方税法を引き合いに、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等又は特約業者等との間で委託販売契約を締結した受託販売業者から軽油を引き取る者が、その特約業者等又は受託販売業者に支払う軽油引取税相当額は、納税義務者としての租税である軽油引取税の支払いであるから課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないと指摘。一方、軽油引取税の特別徴収義務者ではない特約業者等に支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると解するのが相当と指摘した。

 その結果、請求人の取引先の一は、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等又は受託販売業者ではない者であり、支払った軽油引取税相当額は課税仕入れに係る支払対価の額に当たると判断して原処分を取り消したものの、他の取引先は軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等に該当することから課税仕入れに係る支払対価の額には当たらないと判断、審判所認定額との差額があったことから結果的に一部取消しという裁決内容になった。

(国税不服審判所 2011.12.13裁決)