税理士がビジネス専門学校と交わした講師契約は請負契約
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:09/28/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 税理士がビジネス専門学校で行った財務諸表論の講義に係る講師契約が消費税法上の請負契約に該当するか否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は請負契約あるいはそれに類似する契約と認められることから、請求人が行った講義は消費税法に規定する「事業として」行われたものに該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、税理士業を営む審査請求人が、ビジネス専門学校が運営する税理士講座で行った財務諸表論の講義は消費税法2条1項8号規定の「事業として」行ったことには当たらないため、講義の対価の額を除くと、基準期間における課税売上高は1000万円以下になることから、課税期間の納税義務は免除されると判断して、その課税期間について更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その取消しを求めていたという事案である。

 これに対して裁決は、消費税法2条1項8号の「事業として」について、同法の基本通達5-1-1が「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう」と定めていることに触れ、消費に広く負担を求める消費税法の趣旨・目的に照らして、この解釈は妥当と判断した。

 その上で、請求人は講義を反復・継続して行っていたことが認められるとともに、講義について請求人の裁量が広く認められており、講師契約が雇用契約ではなく、請負契約あるいはそれに類似するものであることからすれば、請求人の役務の提供は消費税法上の事業というに足りる独立性が認められると指摘して事業として行ったことに該当すると認定、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所2009.09.17裁決)