売買契約締結日が譲渡の時期と判断、仕入税額控除を否認
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:05/13/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 建物等の取得の際に支払った消費税額が課税期間の控除対象仕入税額に算入されるか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は売買契約の締結日に代金決済所有権移転登記等が完了しているのであれば、売買契約を締結した日が建物等の譲渡の時期であると指摘した上で仕入税額控除の対象にはならないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、ビジネスホテル業を営む審査請求人が、消費税等の計算の際に建物、建物附属設備、構築物、車両運搬具、工具器具備品の取得に係る消費税額を控除して申告したことが発端。これに対して、原処分庁が建物等の引渡しの日は所有権移転登記等がされた日であり控除対象仕入税額に算入できないとして更正してきたことから、審査請求人がその取消しを求めていたもの。つまり請求人は、建物等の引渡しの日は契約当事者が確認書及び合意書で定めた日であると主張して、原処分の全部取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、売買契約書締結の日に売買代金を支払い、根抵当権設定登記を行っている、売買契約が旅館業の営業許可を受けることを停止条件とする契約であるとは認められないことから、不動産の引渡しは売買契約書の契約日に完了しているといった事実関係を認定。しかも、これらの事実関係から合意書に記載された引渡しの期日よりも前に引渡しが完了していることが認められるから、引渡しの日が合理的と認められる日が存在している場合には、引渡しの時期について取引当事者間の合意があるからといって、それによって課税仕入れの時期を左右し得ないとも指摘、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2007.02.08裁決)