納税しても申告書が未提出なら無申告加算税の賦課は適法
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:10/25/2005  提供元:21C・TFフォーラム



法定申告期限までに消費税を納付したものの申告書が提出されなかったため、無申告加算税が課されたことの適否が争われた事件で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)は納税申告書提出の失念は納税義務者の義務不履行であるから実質的違法性を欠くということはできないと判断、納税者の主張を斥ける判決を下した。

 この事件は、原告の法人が法定納期限までに消費税と地方消費税を納付したものの、申告書の提出を失念したことが発端になったもの。これに対して原処分庁が、申告書の未提出を理由に国税通則法66条に基づいて12億円超の無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて提訴していた事案だ。

 原告は、申告意思が認められ、現実に納税されている以上、単なる形式的な申告手続違背に対する制裁として無申告加算税を賦課するのは、法の趣旨、目的を逸脱した法の適用であり、違法であると主張していた。

 しかし判決は、納税申告書と納付書は機能・法的効果が全く異なるものであり、納付書を消費税の納税申告書とみることはできないと斥けた上で、納税申告書を法定期限内に提出するのは申告納税方式下における国税等の納税手続の根幹を成す納税義務者の重要な行為であると指摘。

 そうであれば、たとえ法定納期限までに全額に相当する消費税が納付されているとしても、申告書を提出しなかったという義務違反が無申告加算税を定めた法の趣旨に照らして実質的違法性を欠くということはできないことから、無申告加算税の処分を賦課した原処分は適法と判断、納税者の主張を棄却した。判決の理屈は分かるものの、税務署長の裁量権はどうあるべきかを考えさせる判決とも言えよう。

(2005.09.16 大阪地裁判決、平成16年(行ウ)第107号)