事業上不可欠な要素の承継の有無で消費税の納税義務を判断
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:04/19/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 相続があった場合の消費税に係る納税義務免除特例の適用の有無が争われていた審査請求事案で国税不服審判所は、審査請求人は被相続人の事業を承継しており、納税義務は免除されないとした原処分を妥当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、人材派遣業を営む請求人が、被相続人の事業を承継していないため、相続があった場合の納税義務免除の特例は適用されず、小規模事業者に係る納税義務が免除される免税業者にあたると判断、消費税の申告をしなかったところ、原処分庁が更正の上、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めた事案だ。

 請求人は、被相続人の確定申告書の付票の相続人等の住所・氏名欄に相続人代表者(母)とともに連名したものの、1)被相続人名義の預金に振り込まれた売上代金は母親が全額受け取っていること、2)被相続人の事業廃止届を税務署に提出したこと、3)従業員には被相続人の死亡・廃業を伝えるとともに従業員の意向を確かめた上で請求人が営む事業に勤務させたものであるから、単に取引先と従業員が同じというだけで、被相続人の事業を承継したと認定されることには納得がいかないと主張して、その取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、相続により事業が承継されたか否かは、請求人と被相続人が営んでいた人材派遣業において、事業遂行上不可欠な要素である取引先及び取引先に派遣している塗装工が、被相続人から請求人に承継されているか否かで判断するのが相当であると解釈。その解釈にそって、事業遂行上の要素である取引先、取引先に派遣する塗装工が共に被相続人から請求人に承継されていると認定、相続によって被相続人の事業を承継した相続人に該当すると判断、審査請求を棄却した。

(2005.06.10.裁決)