建物の使用面積割合に応じた請求人の課非区分は妥当と裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:11/26/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の仕入税額控除の計算の際に個別対応方式と一括比例配分方式のいずれを適用するのが妥当なのか、その適用の可否が争われた事案で、国税不服審判所は請求人が採用した個別対応方式は合理的な基準の一つであると判断、原処分を全部取り消した。

 この事案は、消費税の課税売上割合が95%未満の請求人が、店舗・事務所、ワンルームタイプの共同住宅用の賃貸を目的にした8Fの鉄骨造りの建物を建築したことが発端になったもの。その後、消費税の申告の際に、建築費用が共通資産の譲渡等に要するものに該当する課税仕入れにあたると判断して建物の使用面積割合に応じて課税部分と非課税部分に区分、その課非区分に基づき個別対応方式によって仕入控除税額を計算して申告したところ、原処分庁が課非区分の不明確さを理由に更正するとともに、過少申告加算税を賦課してきたため、請求人がその取消しを求めて審査請求していたというものだ。

 これに対して審判所は、請求人が建築費の課非区分の判定の際に採用した使用面積割合は、消費税法基本通達11-2-19(共通用の課税仕入れ等を合理的な基準により区分した場合)に定める合理的な基準であると認定、原処分を斥けている。というのも、事務所・住宅に共通して利用される建物の場合、その利用実態に応じた各用途ごとの使用面積割合による建築費の課非区分は各用途ごとの建築単価がほぼ同一であれば合理的であること。また、建築費の大部分を占める基礎工事・駆体工事・外装工事費等は各用途に共通してかかる費用であるとともに、1㎡あたりの建築単価はほぼ同一と認められ、これらの費用は各用途ごとの使用面積割合による課非区分が合理的であるという判断からだ。

(国税不服審判所、2001.12.21裁決)