請求人の指揮命令下にないため第5種事業にあたると裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:12/16/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 製造業のうち加工賃等の料金を対価とする第4種業に当たるか、サービス業のうち労働者派遣業に当たる第5種事業に当たるか、消費税の簡易課税制度を適用する際の業種区分が争われていた事案で、国税不服審判所は派遣社員の労働の対価にあたるから請負とはいえず、第5種事業のサービス業に当たると裁決、審査請求を棄却した。

 この事案は、請求人が顧客と請負契約を交わして社員を顧客の工場等で加工や組立ての作業に従事させ、その役務に基づく対価を受け取っていたことから、審査請求人は製造業のうち役務の提供を行う第4種事業にあたると判断して簡易課税制度を適用したことが発端になったもの。

 これに対して原処分庁が、請求人の社員は指揮命令下になく、顧問先の指揮命令の下に業務に従事させるものであり、請負契約に係る売上請求金額も派遣した社員の労働の対価と認定、第5種事業にあたると更正してきたため、審査請求人が第4種事業に当たると反論、原処分の取消しを求めていたという事案だ。

 これに対して裁決は、請求人が顧客に派遣した社員は顧客先の社員の業務命令の下に作業に従事していること、また請求人は別途「覚書」で顧問先への請求金額は派遣社員の勤務時間や時間給をベースに算定すると契約を交わしている事情を考えれば、請負契約に基づく報酬ではなく、派遣社員の労働の対価であると事実認定。その結果、顧問先との取引は請負契約の形はとられているものの請負とはいえず、日本標準産業分類の労働者派遣業に当たることから第5種事業のサービス業に該当する判断、審査請求人の原処分の取消請求を棄却する裁決を下している。

(国税不服審判所、20002.09.30裁決)