消費税の端数処理をめぐる判断で、原処分を一部取消し
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:08/21/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 課税資産の譲渡等に係る消費税額の1円未満の端数処理が、消費税法施行規則22条1項(確定申告書の記載事項等)の特例計算の要件を具備しているか否かが争われていた事案で国税不服審判所は、食料品に係る端数処理は認められないものの、食料品以外の商品については要件を満たしていると判断、原処分を一部取り消す裁決を下した。
 この事案は、スーパーマーケットを営む審査請求人が、消費税額の1円未満の端数処理を行うにあたって、食料品は単品ごとに、食料品以外の商品についてはレシートごとに1円未満の端数の切捨てを行って申告したのが発端。これに対して原処分庁が、請求人の端数処理の方法は消費税法22条1項の特例計算の要件を満たしていないと否認、過少申告加算税の賦課決定処分等をしてきたため、審査請求に及んでいたという事案だ。
 これに対して裁決はまず、消費税法施行規則22条1項の特例計算は、a消費税額の端数処理が課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を単位として行われ、かつb決済上受領すべき金額を課税資産の譲渡等の対価の額と課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額とに区分して受領する、ことが要件と解釈。その結果、決済上受領すべき金額を区分して領収した事実が記録された帳簿、すなわち一取引ごとの課税資産の譲渡等の対価の額とこれに課されるべき消費税相当額を示す資料は、消費税法58条の備付けが求められる帳簿に含まれる。その結果、食料品については個々の商品の売上品目ごとの金額をとらえて端数処理を行い、顧客に対するレシートごとの金額を単位として端数処理が行われていないと指摘して請求を棄却した。
 しかし、非食料品についてはレシート上に記載された金額の合計額をとらえて端数処理が行われ、レシート上に課税資産の譲渡等の対価の額とこれに課されるべき消費税に相当する額とに区分表示して顧客に交付しており、かつこれらの事実を記録したレジシート、レジ日報を管理・保存していることが確認できると判断、原処分の一部を取り消す裁決を下している。
 (国税不服審判所、2000.3.29裁決)