法定記載要件を具備した部分に係る消費税額の仕入税額控除を容認
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:12/20/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 職人に支払った対価が課税仕入れに係る支払対価として消費税額の控除が認められるか否かが争われた事件で国税不服審判所は、いわゆる出面帳の記載事項のうち法定記載要件を具備している部分は課税仕入れ等の税額に係る帳簿に該当すると判断、原処分を一部取り消した。

 この事件は、型枠工事業を営む審査請求人が税務調査の指摘を受けて消費税等の期限後申告を行った後、作業員(職人)に支払った対価並びに水道光熱費、通信費、修繕費等及び固定資産の購入に係る各支払対価は消費税法上の課税仕入れに該当し、仕入消費税額控除が認められる等として消費税等の更正の請求をしたところ、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その全部取消しを求めた事案である。

 原処分庁は、出面帳の大半に仕入税額控除の前提となる法定記載事項の記載がないことを理由に、消費税法上の規定に照らして法定帳簿と認める余地はない等と主張を展開した。

 これに対して裁決は、法定帳簿は確かに法定記載事項の記載が求められ、その要件を欠く帳簿は法定帳簿として認めることはできないものの、出面帳の記載内容等を法定帳簿の保存を法が定めた趣旨に照らせば、出面帳のうち法定記載事項のすべてを満たしていると認められる部分のみを法定帳簿と認めることが法定帳簿の保存を定めた法の趣旨に反するとはいえないと解釈した上で、原処分庁の主張を採用することができないと指摘、請求人側の主張を一部認める裁決を言い渡している。

(国税不服審判所、2011.03.30裁決)