いわゆる単品ごと積上計算方式による消費税の計算を否認
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/02/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の税率が適用される売上にかかる課税標準額の計算をめぐって、商品の単品ごとの価格に消費税率を乗じて端数を切り捨てた後に消費税額を計算していく、いわゆる単品ごと積上計算方式の適否が争われていた事件で、東京地裁(富越和厚裁判長)は、消費税が例外的に認める積上計算は請求書・領収書ごとに行われる取引金額がベースになると判示、納税者の主張を棄却する判決を下した。
 この事件は、食料品小売業(スーパー)を営む法人が、商品の区分ごとに合計した売上金額を売上個数で割って一個あたりの売上単価を算出、それに3%を乗じた金額の一円未満の端数を切り捨てた金額を割引額として控除していたことがもともとの発端。申告に際してはその金額を課税資産の譲渡等の対価として税率を乗じ、一円未満の端数を切り捨てた金額を消費税相当額としていたという。この単品ごと積上計算方式に対して、原処分庁が消費税の課税標準額は総額計算方式によるのが本来であり、端数を処理した後の消費税相当額を基礎として行う決済ごと積上計算方式は例外であると指摘して消費税の更正処分をしたため、納税者がその取消しを求めて訴訟を起こしていたという事案だ。
 東京地裁はまず、消費税法は総額計算方式が本来であると指摘。同時に、原告が採用した単品ごと積上計算方式は、消費税法施行規則22条1項が例外的に定める決済ごと積上計算方式の要件を満たしていないと指摘するとともに、原処分庁の更正処分に租税法規適用上の違法は存在しないと判示して、納税者の主張を斥けている。
 (1998.1.28東京地裁判決、平成10年(行ウ)第37号)