更正処分は妥当でも、重加算税の賦課は違法と判示
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:08/26/2003  提供元:21C・TFフォーラム



 控除不足仕入税額があるとして行った消費税の還付申告に対する更正処分、重加算税の賦課決定処分の違法性の有無が争われた事件で京都地裁(八木良一裁判長)は、更正そのものは妥当でも、原告は国税通則法65条1項の当該納税義務者に該当しないため、過少申告加算税も重加算税も課すことはできないと判示、原処分の一部を取り消す判決を下した。

 この事件は、電子機器等の輸出取引に絡む消費税の控除不足税額の還付を求めた申告に対して、原処分庁が税務調査後、輸出取引は原告個人によるものではなく従業員であったA有限会社のものであると認定、更正処分及び重加算税の賦課決定処分をしてきたため、原告がその取消しを求めて訴訟に及んでいたという事案だ。

 判決まず、更正処分については、輸出取引が原告によるものではないのにかかわらず還付申告したものであり、妥当であると原告の主張を棄却した。

 一方、重加算税の賦課決定処分については、原告個人は輸出取引の帰属主体ではなく、その課税期間において消費税法が定める課税要件事実があったという主張・立証もなく、還付申告時点においては、課税期間の消費税の納税義務者ではなかったと認定。その結果、原告は国税通則法65条1項の当該納税義務者には該当しないことになり、過少申告加算税を賦課することはできないという解釈をした。そうであれば、同法68条1項の重加算税はこの過少申告加算税を前提に課されるものであるから、重加算税も課されないことになると判示、原処分を一部取り消す判決を下している。

(2003.07.10 京都地裁判決、平成13年(行ウ)第19号)