控訴審でも帳簿の不提示をめぐる争いで納税者が敗訴
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:07/13/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 ガソリンスタンドを営む個人事業者に対して原処分庁が行った推計課税の必要性・合理性、さらに消費税の仕入税額不控除の是非が争われていた控訴審で、高松高裁(山脇正道裁判長)は推計課税については一審と同様の判断を示すとともに、仕入税額不控除については新たな解釈を示した上で控訴人の請求を斥けた。
 この事件は、ガソリンスタンドを営む白色申告者が調査の際に帳簿等の提示拒否を理由に原処分庁が取引先の反面調査をもとに同業者比準法による推計課税に基づく更正処分をしてきたため、一審敗訴後、納税者がさらにその取消しを求めて控訴していたもの、ポイントは、調査時の帳簿の不提示が帳簿を保存していない場合にあたるか否か、それに伴う原処分庁による消費税の仕入税額控除の否認が妥当か否かにあったわけだ。
 ところが、納税サイドは一審段階で単に争うとだけ主張したのみで、何ら具体的な理由は述べなかったが、控訴審段階で初めて具体的な反論書を提出した。そこで、控訴審判決は改めて帳簿等の保存を定めた消費税法30条の趣旨を解釈した上で、納税者の主張を棄却している。まず、帳簿等の保存とは単に事業者の支配下にあるだけでなく、法令の定める期間・場所において、税務職員が調査の際にその内容を確認できる状態で保存していることを意味していると解釈。しかし、控訴人には調査官からの再三の求めにもかかわらず、何ら正当な理由なく提示を拒否していたことが認められ、法定要件を充たした状態で帳簿等を保存していなかったことが推認できると判示、控訴を棄却している。
(1999.4.26高松高裁判決、平成10年(行コ)第9号)