家庭薬配置業者が受け取る手数料は役務提供の対価と認定
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:05/30/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 家庭配置薬の販売業者が製造業者から受け取る受入手数料が、対価の返還等としての販売奨励金に当たるか否かの判定が争われた事案で、国税不服審判所は出来高払いとしての報酬の性格を有しており役務提供の対価であると認定、審査請求を棄却した。

 この事案は、家庭薬の製造を営むA社の傘下にあって、配置販売業者と配置販売員の育成、配置得意先の開拓と販売を目的に設立された法人が審査請求していたもの。A社と請求人との間では相互協力契約書が交わされ、その契約に基づいて顧客の新規開拓に対しては1戸につき5000円の割合による拡販費がA社から支払われることになっていたが、請求人は得意先の住所、氏名を詳細にA社に報告し、A社はそれに基づいて礼状を送付するという状態にあった。

 そこで、請求人はこの受入手数料をいったん課税売上高に計上して申告したものの、後日、課税売上高には該当しないと判断し直して更正の請求をしたところ、原処分庁がこれを否認、更正してきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。請求人は、販売促進の目的で販売数量及び販売高等に応じて受け取る販売奨励金等に該当し、課税資産の譲渡等の対価には当たらないと主張していた。

 これに対して裁決は、請求人が新規に獲得した得意先はすべて請求人の得意先になる一方、A社の売上金額の増加にも資していると指摘。また、A社から支払われる受入手数料は新規顧客獲得数に応じて支払われる出来高払いとしての報酬の性質を有し、新規顧客獲得という役務の提供の対価と認めるのが相当とも判断して請求を斥けた。一戸当たりの受取手数料が新規顧客宅に配置する薬品の仕入原価の3倍を超えており、受取手数料と薬品仕入れの対価との間には対応関係が認められないという判断が働いたためのようだ。

(国税不服審判所、2005.03.22裁決)