免税事業者の売上高は消費税込みが妥当と控訴審判決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:01/31/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 基準期間の売上高が3、000万円以下の場合は消費税の納税が免除されるが、免税事業者であってもその判定の際には消費税額を除いたところで計算するのか、消費税込みで判定するのかその判断が争われていた控訴審で、東京高裁(浅生重機裁判長)は、免税事業者には元々課されるべき消費税額はないと判示、第一審の判決と同様、納税者の控訴を全面的に棄却する判決を下した。

 控訴人である納税者は、免税業者か否かの判定にあたっては基準期間において課税事業者であったか否かを問わず、売上高から消費税相当額から控除した金額をもってその判定を行うのが妥当であると一貫して主張してきた。
つまり、旧税率3%でいけば3、000万円ではなく3、090万円がその分岐点になるという主張だ。これを文理解釈、判定基準の明確性・単一性、担税力、課税の実情といって点から反論を繰り広げてきたわけだ。

 これに対して判決はまず、いったん納税義務が発生し事後的に消滅するのであるから、免税事業者の場合も課されるべき消費税が存在するという控訴人の主張は法の文理からみて採用できないと否定。また、担税力の面からみても消費税法の定めている判定基準には合理性が認められると指摘するとともに、免税事業者・課税事業者を問わず免税事業者の判定にあたっては売上高を3、090万円を基準すべきであるという主張についても、法律が売上高とは異なる課税売上高という基準を採用しているのであり、控訴人の主張は法の明文を無視するものであると判示して、納税者の取消請求を棄却した。

(2000.1.13東京高裁判決 平成11(行コ)第52号)