家電製品等の塗装処理で加工賃を受け取れば第四種事業
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:01/26/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 無償提供を受けた家電製品等の部品に塗装処理をすることで、加工賃を受け取っている同族法人の事業は、消費税の簡易課税制度の適用上、第三種事業に該当するか第四種事業に該当するかその判断が争われていた事案で、関東信越国税不服審判所は加工賃等を対価とする役務の提供を行う事業に当たると判断、納税者の請求を斥けた。
 この事案は、塗装業を営む同族法人が消費税の簡易課税制度の適用に際して、第三種事業として申告したのが発端。これに対して、原処分庁が日本標準産業分類上は製造業であっても、原材料の支給を受け、加工賃を対価とする役務の提供を行う事業は第四種事業にあたるとして更正処分をしたため、納税者がその取消しを求めていたという事案だ。
 簡易課税制度の適用における事業区分をめぐる争いは数多いが、納税者の請求が斥けられているのが殆ど。この事案においても、審判所は加工賃等を対価とする役務の提供を行う事業は第三種事業から除かれると消費税法施行令57条5項3号を引き合いに指摘するとともに、その加工賃等を対価とする役務の提供については、対価の名称がどうであれ他の者の原料、材料さらに製品等に加工をし、それによって対価を受領する役務の提供をいうと解釈している。その解釈をもとに、請求人の事業は家電製品や自動車部品メーカーの製品であるプラスチック製の家電製品、自動車部品に塗装を施して対価を受領しているのであるから、この加工賃等を対価とする役務の提供を行う事業にあたると認定。つまり、第三種事業にあたらない以上、第一種事業(卸売業)にも第二種事業(小売業)にもあたらない。結局、第四種事業にあたるという考えから更正処分は妥当と判断したわけだ。
 (関東信越国税不服審判所、平成10年3月3日裁決)