課税売上高は課税資産の合計額で算定するのが妥当と裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/09/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 基準期間が免税事業者である場合、免税事業者に該当するか否かの分岐点となる課税売上高の算出方法が争われていた審査請求事案で、国税不服審判所は課税資産の譲渡等の対価の額の合計額によって算定することが妥当と判断、請求人の主張を棄却した。
 この事案は、和菓子の製造業を営む同族会社が基準期間の課税売上高を税抜き価額で計算した結果3000万円以下となったため免税業者と判断、消費税の申告書を提出しなかったのが発端。しかし、原処分庁は課税資産の譲渡等の対価の額そのものであると主張して請求人が選んだ算定方法を否認、決定処分と過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから、その取消しを求めて審査請求されていたもの。
 これに対して審判所は、基準期間において免税事業者に該当する者には課税されるべき消費税が存在しない以上、課税売上高の計算上も課税資産の譲渡等の対価の額から控除すべき消費税相当額もないと消費税9条2項の趣旨を説明。したがって、基準期間が免税事業者の場合、課税売上高が3000万円以下であるか否かは課税資産の譲渡等の対価の額の全額で算定するのが妥当であると解釈している。その算定の結果、課税売上高は3000万円を超え決定処分に係る金額を上回ることから、無申告加算税の賦課決定処分も適法であると判断して、請求人の主張を斥けている。基準期間が免税事業者である者の課税売上高の算定方法を示した、目安となる裁決ともいえよう。
 (国税不服審判所、1996.11.22裁決)