貸倒れに係る消費税額の控除は可能と判示、法人側の主張を認容
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/25/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 市場で出荷者から販売の委託等を受けて肉製品の卸売業を営む会社が販売先に対する債権が貸倒れとなったことをめぐり、貸倒れに係る消費税額の控除が認められるか否かの判断が争われた事件で大阪地裁(田中健治裁判長)は、卸売業を営む会社は単なる名義人として課税資産の譲渡を行ったものにすぎないということはできないという判断の結果、消費税額の控除を否認した更正処分は違法と判示、更正処分等を取り消す判決を言い渡した。

 この事件は、いわゆる中央卸売市場において出荷者から販売の委託等を受けて牛枝肉等の卸売業を営む法人が、販売先である買受人に対する債権が貸倒れとなったことから、消費税法39条1項に基づいて貸倒れに係る消費税額の控除をして消費税等の確定申告をしたのが発端となった。
 
 しかし原処分庁が、貸倒れに係る消費税額の控除は認められないと申告を否認、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、中央市場で牛枝肉の卸売業を営む法人側が原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。つまり、債権の貸倒れに対する消費税額控除の可否が争点になったわけだが、原処分庁側は実質的に課税資産の譲渡を行ったのは卸売業を営む法人ではなく、出荷者である委託者という認定をしたわけだ。

 これに対して判決はまず、中央市場における牛枝肉の取引において、卸売業を営む法人(原告)は商法上の問屋であると認定。その上で、買受人からの売買代金回収のリスクを負うのは同法人であって、牛枝肉の出荷者である委託者はそのリスクを何ら負わないこと、同法人と買受人との間の牛枝肉の売買代金の合意いわゆる売買契約の締結についても委託者(出荷者)は特段の関与をしていないこと、買受人に対する瑕疵担保責任を負うのも同法人であって委託者(出荷者)ではないことに照らせば、牛枝肉の売買取引において、同法人がその法的実質として、単なる名義人として課税資産の譲渡を行ったものにすぎないということはできないと認定した。
 
 結局、同法人は課税資産の譲渡を行ったものとして、貸倒れとなった債権について消費税法39条1項所定の控除の適用を受けるものと解するのが相当であるから更正処分等を違法と判示して、原処分庁側の主張を斥けている。

(2013.06.18大阪地裁判決、平成23年(行ウ)第13号)