役務の提供に係る事務所は国内に存在、消費税の課税対象に
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:05/17/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 国内外のカーレースに参戦するためのマネジメント等を行う有限会社が行った各スポンサー契約に基づく役務の提供が消費税の不課税取引に当たるか否かの判断が争われた事件で、東京地裁(川神裕裁判長)は、各役務の提供は国内及び国外の地域にわたって行われる役務の提供に当たるとともに、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等も国内に存在していることが認められることから、各役務の提供は国内で事業者が行った資産の譲渡等に当たるため消費税の課税対象になると判断、課税処分の取消請求を棄却した。

 この事件は、国内外のカーレースへの参戦及びその企画運営等々を行う有限会社が、各スポンサー企業とのスポンサー契約における役務提供地は国外にあり、同契約に基づく契約金も国外売上げになることから課税売上げには該当しない、いわゆる不課税取引であると主張して課税処分の取消しを求めていたもの。

 つまり有限会社側は、各スポンサー契約は国外レースへの参戦を目的に締結され、その役務提供は国外で行われることが契約上予定されているのであるから、各スポンサー契約に伴う契約金は国外における役務提供の対価であり、消費税の課税対象とはならないと主張していた。

 しかし判決は、消費税の定義、課税の対象、役務の提供場所(消法2、4、消令6)を踏まえた上で事実認定を行い、原告の有限会社が締結したスポンサー契約において有限会社が負担する役務の提供であるカーレース参戦等は、国内及び国内以外の地域にわたって行われる役務の提供に当たると認定するとともに、その役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等はいずれも日本国内に存在すると認定。その結果、有限会社が行った役務の提供は国内で事業者が行った資産の譲渡等に当たるため消費税の課税対象になると判断して、有限会社側の課税処分の取消請求を棄却している。

(2010.10.13 東京地裁判決、平成20年(行ウ)第730号)