錯誤を理由とした簡易課税制度選択届出の撤回嘆願を拒否
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:05/23/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 製造問屋を第三種事業(製造業)に区分している消費税法基本通達13-2-5(1)の合理性と簡易課税制度選択届出書の提出に対する錯誤の有無が争われた事件で、名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は同通達が消費税法施行令57条5項、6項の解釈基準として不合理とは言えず、錯誤も簡易課税制度の本質的部分に関わるものではないと判断、棄却した。

 この事件は、原告の代理人である補佐人税理士が原告の事業が卸売業(第一種事業)に該当すると判断して簡易課税制度選択届出書を提出した後、製造問屋を製造業とする通達の定めによって第三種事業に取り扱われることを知り、同届出書の提出が錯誤によるものである旨を述べた嘆願書を提出して、届出書の提出の取下げ(撤回)を求めるとともに、本則課税によって申告し直したのが発端だった。

 しかし、原処分庁がこの嘆願を拒否、第三種事業として更正の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、1)製造問屋を第三種事業に区分する基本通達の不合理性、2)届出書の提出が税理士の錯誤によるもので無効ないし撤回済みであることを理由に、課税処分の取消しを求めて提訴していた事案だ。

 判決は、簡易課税制度の趣旨と改正の経緯に触れた上で、製造問屋を第三種事業に区分し、卸売業や小売業よりも低いみなし仕入率を適用することを定めている消費税法基本通達13-2-5(1)は消費税法施行令57条5項、6項の解釈基準として不合理とはいえないと判示。また、錯誤の主張についても、第三者による詐欺や脅迫行為を受けたわけでもなく、錯誤の内容が簡易課税制度の本質的部分に関わるものではないことからも、錯誤を認める特段の事情には当たらないと指摘して、納税者の主張を斥けている。

(2005.12.22名古屋地裁判決、平成16年(行ウ)第86号)