納付書と納税申告書の機能・法的効果は全く異なると判示
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:07/25/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 法定申告期限までに消費税・地方消費税の納付書を提出して納付を済ませていたものの、納税申告書を提出しなかった法人に対して無申告加算税賦課決定処分されたことの適否が争われた事件で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)は納税申告書と納付書とはその機能、法的効果が全く異なるものであり、納付書をもって納税申告書に当たるとは言えないことから無申告加算税の賦課決定処分は適法と判示、法人の課税処分の取消請求を棄却した。

 この事件は今年の税制改正にも微妙な影響を与えたもので、10数億円に達する多額の無申告加算税の賦課決定処分に新聞等でも大きく取り上げられたが、文字通り、消費税等として総額240億円余の金額を納付したものの、申告書を提出し忘れたことから、原処分庁が国税通則法66条1項1号、3項に基づいて12億円超の無申告加算税の賦課決定処分を打ってきたため、法人側がその取消しを求めて提訴していたという事案だ。

 法人側は納付書の提出による瑕疵ある申告とみなされ、期限後申告書の提出によってその瑕疵が治癒したのであるから、無申告には当たらないと主張する一方、正当な理由があるから無申告加算税の賦課決定処分も取り消されるべきであると主張していた。

 これに対して判決は、納税申告書と納付書とはその機能・法的効果が全く異なるものであると指摘するとともに、申告納税方式の下では納税申告書を期限内に提出することは国税等の納税手続きの根幹を成す納税義務者の重要な行為であると解釈。さらに、申告の意思が認められるとしても無申告加算税を定めた法の趣旨に照らして考えれば、実質的違法性を欠くとは到底いえないと判示、法人の主張を棄却した。なお、こうしたケースに対しては18年度改正で申告の意思を前提に緩和措置をとる手当てがされている。

 (2005.09.16 大阪地裁判決、平成16年(行ウ)第107号)