訪日旅行ツアーのパッケージの提供は国内における役務の提供
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:11/04/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 我が国の旅行会社が訪日旅行ツアーを主催する外国法人に、宿泊先、飲食場所、交通手段等をパッケージで提供する取引が輸出免税取引に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(増田稔裁判長)は、取引の内容が訪日旅行客に対する国内における役務を提供するものであるから、輸出免税取引には該当しないと判示して棄却した。

 この事件は、旅行業を営む日本法人が、訪日ツアーを主催する外国法人と旅行客の飲食場所、宿泊先、交通手段等の確保をパッケージで提供する契約を交わして受領した対価を輸出免税取引に該当すると判断して、消費税の課税標準に算入せず消費税及び地方消費税の申告をしたところ、原処分庁が輸出免税取引には該当しないと否認、更正の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、法人側がその取消しを求めて提訴した事案。

 法人側は、輸出として行われる資産の譲渡は事業として対価を得て行われる資産の譲渡であり、資産とは棚卸資産、固定資産等の有形資産から商標権、特許権等の無形資産までが取引の対象となる全ての資産を含む広い概念であると主張する一方、資産の譲渡とは資産の同一性を維持しつつ他人に移転することであるとも主張して、原処分の取消しを求めた。

 これに対して判決は、取引の性質及び内容を検討した上で、取引内容が外国法人に対して「訪日旅行客に対して各種サービス提供機関による役務の提供という方法によって国内における飲食・宿泊等の役務を提供する」ものであると解するのが相当であるという判断から、消費税が免除される取引には該当しないと判示した。

 また、非居住者に対する役務の提供は、国内にある資産に係る運送、保管及び国内における飲食又は宿泊に準ずるものであるから、国内で直接便益を享受するものに該当するため、消費税が免除される取引にも当たらないと判示して、法人側の主張を斥ける判決を言い渡した。

(2015.03.26東京地裁判決、平成23年(行ウ)第718号)