フロッピーディスクも提示が帳簿保存の前提と裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:03/27/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 会計データを保存しているフロッピーディスクの故障に伴う出力不可能を理由にした帳簿書類等の不提示が、青色申告承認取消事由に該当するか否かが争われた事案で国税不服審判所は、会計データをフロッピーディスクに保存していたとしても、それだけで帳簿書類の備付け、記録・保存があることになるわけでもなく、しかも領収書等も十分に保存していなかったことが認められると判断、審査請求を棄却した。
 この事案は、請求人である税理士に対して、原処分庁が帳簿書類の不提示を理由に青色申告承認の取消処分を行うとともに、架空の必要経費の計上による多額の所得漏れを認定、重加算税の賦課決定処分をしたことから、原処分の取消しを求めていたという事案だ。
 請求人は、帳簿書類の不提示は調査員から一方的に調査を受けたため、調査に協力し得なかったこと、さらに会計データの内容を出力できなかったのはフロッピーディスクの具合いが悪く、不可抗力によるものと反証。しかし、異議調査の際にはフロッピーディスクを修復して会計データを出力、各年の総勘定元帳等の帳簿書類を提示しているのであるから、青色申告承認の取消処分は違法であると反論を展開した。
 これに対して裁決は、会計データをフロッピーディスクに保存していたとしても、それだけで帳簿書類の備付け等があることになるわけでもないと請求人の反論を一蹴。しかも請求人は税理士でありながら、所得税法63条1項が求める取引相手からの注文書・領収書・見積書等も十分に保存していなかったのであるから、青色申告承認の取消処分は適法に行われたものであると判断、請求人の主張を斥けている。
(国税不服審判所、1999.10.29裁決)