申告書への証明書類の未添付を理由に、非課税措置の適用を否定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:08/06/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 相続財産を財団法人等に贈与した際に、国等に相続財産を贈与した場合の非課税措置の適用が受けられるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(八木一洋裁判長)は、同特例の適用要件である所定の書類等が申告書に添付されていなかったことを理由に適用は認められないと判示、納税者側の主張を斥ける判決を言い渡した。

 この事件は、相続した財産の一部を財団法人に贈与したことを踏まえ、相続税の申告の際に、国等に対して相続財産を贈与した場合等の非課税等を定めた特例措置(措法70(1))を適用して申告書を提出したことが発端。しかし、原処分庁が財務省令の定める所定の書類が添付されていなかったことを理由に特例の適用を否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者側がその取消しを求めて提訴した事案である。

 納税者側は、申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、公益財団法人への移行に係る認定申請書の写しを添付しただけで、財務省令が定める特定公益増進法人に該当する旨を私立学校法が定める所轄庁の証明書類を提出しなかったことがポイントになった。

 判決はまず、同特例の趣旨を説明した上で、その適用を受ける際には申告書に適用を受ける旨を記載するとともに、贈与財産の明細書その他財務省令が定める書類を添付しない場合は適用が認められないと指摘。さらに、こうした証明書の添付が要求されている理由にも触れ、贈与された法人が特例の適用対象となる法人に該当するか否かの判断を課税庁がすることは容易でなく、同特例の統一的な適用を図る必要もあるため、所定の証明書を申告書に添付した場合に限定して適用が認められると解するのが相当とも指摘した。

 しかし、特例の対象となる法人に該当することを証明した旧主務官庁の書類の添付がなく、申告書そのものも提出期限までに未提出だった。そうした事実認定も踏まえ、結局、申告書への証明書類の未添付を理由に、相続人の主張を斥ける判決を言い渡した。

(2013.02.22東京地裁判決、平成24年(行ウ)第386号)。