標準的宅地に比し著しく広大でないと判断、広大地評価を否定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:09/04/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 国道沿線地域に所在する面積が1100平方メートルを超える評価対象地が、財産評価基本通達上の広大地に該当するか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大とは認められないと認定、審査請求を棄却した。

 この事件は、相続で取得した土地を財産評価基本通達に定める広大地と判断、相続税の申告の際に広大地の評価を適用して申告したところ、原処分庁が広大地評価の適用を否認して、相続税の更正処分等をしてきたことが発端になったもの。そこで審査請求人が、相続した土地は戸建住宅の敷地として分譲開発する場合には開発道路の設置という公共公益的施設用地の負担が必要であるから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当すると主張して、原処分の一部取消しを求めたという事案である。

 これに対して裁決はまず、審査請求の対象となった土地はその土地が所在する地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大であるとは認められない認定。その上で、仮に審査請求の対象となった土地の地積が著しく広大であるとしても、低層店舗等の敷地として区画割する場合に公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないこと。また、戸建住宅の敷地として分譲開発したとしても、公共公益的施設用地の負担が必要ではない路地状開発による区画割の方が、開発道路を設置する区画割に比べて経済的に合理的であると認められるとも指摘した。

 その認定の結果、請求人が相続で取得した土地は財産評価基本通達(広大地通達)に定める広大地には該当しないと判断して、審査請求を棄却している。ただ、原処分庁認定額と審判所認定額に差額があったため、結果的に一部取消しという裁決結果になった。

(国税不服審判所、2011.12.06裁決)