特則事由に係る期間内の更正の請求ではないと認定して棄却
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:09/11/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 配偶者の軽減特例、小規模宅地等の評価減特例の適用をめぐる更正の請求の可否判断が争われた事件で東京地裁(八木一洋裁判長)は、いずれも遺産分割等が確定した日つまり更正の請求の特則事由に基づく期限である日から4ヵ月以内に行われたものではないことから不適法と判断、原処分の取消しを求めた納税者の主張を棄却する判決を言い渡した。

 この事件は、相続人らが相続税の更正処分を受けた後、配偶者軽減特例、小規模宅地等の評価減特例の適用が可能と判断して更正の請求をしたところ、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたのが争いの発端。当初の期限内申告で、相続財産はすべて分割済みであるとして、両特例を適用した課税価格及び相続税額を計算して申告したものの、原処分庁の調査によって、財産評価の誤り、共同相続人間で財産の分割が行われていない事実が判明したからだ。

 その後、相続人らは遺産分割を求める調停を申し立て、最高裁まで争ったが、結局、最高裁がいずれの抗告も棄却したことを踏まえて更正の請求をしたところ、原処分庁は「遺産が未分割であることについてやむを得ない旨の承認申請書」が、相続税の申告書の提出期限後3年が経過する日の翌日から2ヵ月以内に提出されていない事実を指摘、更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきた。そのため、本人訴訟で通知処分の取消しを求めたという事案である。つまり、相続税の更正の請求の特則事由である4ヵ月以内(相法32)に行われたものであるか否かが争点になったわけだ。

 判決は、相続税に係る更正の請求の特則事由の趣旨を説明した上で、即時抗告に対する高裁の決定がされた場合、その告知によって原裁判が即時に確定後、特別抗告の提起又は抗告の許可の申立てがされた場合も、そのことに変わりはないと解釈。つまり、高裁からの抗告棄却の決定書の正本が送達された日までに確定してその効力が生じることから、相続人らはその日に更正の請求に係る事由が生じたことを知ったものと認めるのが相当と判断したわけだ。結局、いずれも相続税法32条が定める4ヵ月を経過した後にされたもので不適法なものであると判示して棄却している。

(2012.04.18東京地裁判決、平成23年(行ウ)第284号)