小規模宅地特例の適用は対象宅地等を取得した全員の同意が必要
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:04/14/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 小規模宅地等の評価減特例の適用を受ける際に、特例対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出が必要か否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、同特例の適用手続等を定めた政令の規定からも、特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の添付がなければ適用を受けることは認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人が、相続により取得した土地について、被相続人と生計を一にしていた親族である請求人の事業の用に供されていた宅地等に該当すると判断、小規模宅地等の評価減特例を適用して相続税の申告をしたのが発端。しかし原処分庁が、同特例の適用対象となる全ての土地を取得した相続人全員の同意がされていないことを理由に、同特例の適用を否認、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、更正処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人は、遺言により相続した宅地について、1)他の相続人は、遺言無効確認等訴訟が終了したときには同特例の適用に反対していないこと、2)遺言書の効力が訴訟で争われている場合、相続した宅地を選択特例対象宅地等とすることについて相続人全員の同意を必要とする規定は不可能なことを要求するものであることなどを理由に、相続人全員の同意を証する書類の提出がなくても同特例の適用は認められるべきであると主張して、更正処分の全部取消しを求めたわけだ。

 しかし裁決は、同特例の適用を受ける際には、特例対象宅地等のうち特例の適用を受けるものの選択については、特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出が必要であると租税特別措置法施行令40条の2第3項3号が定めていると指摘。にも拘わらず、請求人は特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類を提出していないのであるから、特例を適用することはできないと指摘して主張を斥けた。つまり、租税特別措置法の規定をみだりに拡張解釈することは許されないという判断だ。

(2014.08.08国税不服審判所裁決)