遺留分減殺請求権者に対する連帯納付義務の督促処分は妥当
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:04/10/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 遺留分減殺請求権を行使した者に対して、相続税の連帯納付義務を督促したことの可否が争われた事案で、国税不服審判所は遺留分減殺請求権の意思表示がなされた以上、法律上、当然に減殺の効力が生じるものであると指摘、連帯納付義務の督促処分の取消しを求めた審査請求を棄却する裁決を下した。

 この事案は、共同相続人の一人に係る滞納相続税を徴収するため、遺留分減殺請求権を行使した者に連帯納付義務があるとして督促処分したことが発端になったもので、この督促処分に対して、審査請求人が相続により受けた利益が存在していないのであるから、連帯納付義務はないとして、原処分の全部取消しを求めていたという事案だ。つまり、遺留分減殺請求権を行使して土地建物の所有権移転登記はしたものの、それは遺留分の権利保全を行ったに過ぎず、具体的な遺留分は確定していないという主張をしたわけだ。

 これに対して裁決は、遺留分減殺請求権の行使は、受贈者・受遺者に対する裁判外の一方的な意思表示で可能になるものであり、その意思表示がなされた以上、法律上、当然に減殺の効力が生じると解釈。その結果、遺留分減殺請求権の行使によって、相続開始時に遡って土地建物の持分を取得したものと認められると指摘。また、相続により受けた利益の価額については、相続または遺贈によって取得した財産の価額から債務控除、相続税額、登録免許税額を控除した後の金額になると解釈するとともに、請求人の負担になる債務の金額があるとする証拠もないと指摘、審査請求を斥けている。

(国税不服審判所、2006.06.26裁決)