複数の居住用宅地等への小規模宅地特例適用にNOと裁決
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:03/27/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 生活の拠点となる2つの家屋の敷地面積の合計が200平方メートル以下の場合に、そのいずれにも小規模宅地等の評価減特例の適用が可能か否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は相続直前において現に居住用に供されていた宅地部分に限られると判断、棄却した。

 この事案は、被相続人が居住の用に供していたマンションと家屋を取得した相続人が審査請求していたもので、相続税の申告の際に、これら2つの物件の合計面積が200平方メートル以下であったことから、家屋とマンションの両方の宅地に対して小規模宅地等の評価減特例を適用して申告したところ、原処分庁がマンションの宅地部分に係る同特例の適用を否認、更正処分等を打ってきたため、その取消しを求めて争われていたもの。

 審査請求人は、同特例を規定した租税特別措置法69条の4には、1)特例の適用対象を1箇所に限定する文言が盛り込まれていない、2)相続税コンメンタールの解説では生活の拠点と説明され、生活の本拠とは説明されていない、3)マンションへの入居目的・動機が一時的、臨時的なものではないことなどを理由に挙げて、居住用宅地等に係る小規模宅地特例の適用は1箇所に止まらないと主張、原処分の取消しを求めていたという事案だ。

 しかし裁決は、居住用宅地等とは相続開始直前において、被相続人等が現に居住用にしていた宅地等を意味し、現に生活の拠点として使用していることが必要と解釈。その上で、マンションは生活の拠点としての使用は認められないと指摘するとともに、居住用宅地等を複数保有していたとしても、小規模宅地等の評価減特例の適用はあくまで正に相続開始直前に現に居住の用に供していた宅地部分に限られると判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2006.06.06裁決)