庭内神しの敷地部分は相続税法上の非課税財産に当たると判示
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:08/09/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 庭内神しの敷地部分が相続税法上の非課税財産に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(川神裕裁判長)は、敷地と祠は社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地であるから非課税財産に該当すると判断、納税者側の主張を全面的に認容する判決を言い渡した。

 この事件は、納税者らが相続税の課税価格の計算に誤りがあったとして行った更正の請求に対して、原処分庁が一部の主張は認めたものの、非課税財産に該当するとして申告した土地については非課税財産には該当しないと判断して一部のみを認める各更正処分を行ってきたため、審査請求後、各更正処分の一部の取消しを求めて提訴された事案である。

 納税者らは、庭内神しは祭具ではなく、墓所、霊びょうに準ずるものに該当し、その敷地は相続税法基本通達12-1の「これらのものの尊厳の維持に要する土地」に該当するから、その敷地部分は相続税の非課税財産に該当すると主張。これに対して原処分庁側は相続税法基本通達12-1が墓所、霊びょうに敷地を含むとしているのは、相続税法の墓所、霊びょうと民法の墳墓の解釈を統一するためであって、庭内神しの敷地まで非課税財産に含む趣旨とは解されないことから非課税財産には該当しないと反論していた。

 これに対して判決は、稲荷や弁財天等の各祠及び敷地の外形及び機能に鑑みれば、その敷地は各祠と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地ということができることからすると、相続税法上の非課税規定にいう墓所、霊廟に「準ずるもの」に該当することができると判示、納税者側の主張を全て認容する判決を言い渡した。この判決を受けて国税庁は、取扱いの見直しを明らかにしている。

(2012.06.21東京地裁判決、平成22年(行ウ)第494号)。