地目の異なる複数の土地の広大地評価を否定して棄却
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:09/30/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 地目を異にする複数の土地を一団の土地として広大地評価することが可能か否かの判断が争われた事件で東京地裁(八木一洋裁判長)は、相続開始時の現況や土地の利用の実態等から1つの評価単位として評価することはできないと判示して、納税者の請求を斥けた。

 この事件は、相続税の申告に当たって、地目を異にする複数の土地を一団の土地に当たると判断、広大地評価の方法によって課税価格を計算したのが発端。しかし原処分庁が、相続開始時の現況の地目の別に個別に評価すべきであると判断、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて提訴したという事案だ。

 つまり納税者側は、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合、そのうちの主たる地目からなるものとして一団の宅地ごとに評価する旨を定めた評価通達7のただし書きを理由に、一団の宅地として評価すべきであると主張、原処分の取消しを求めたものだ。

 判決はまず、相続した土地は、評価通達7の本文に従って、相続開始時の地目別に評価するのが原則と指摘。というのも、相続した土地の利用実態は自宅、貸店舗、貸事務所さらに駐車場の敷地として利用されており、一体として利用されていたとは認められないという判断からだ。つまり、評価通達7のただし書きが定める一団の土地、1つの評価単位としてみることはできないというわけだ。

 また、各土地が市街化区域内で第一種住居地域に指定された地域にあることを踏まえ、それぞれが市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域における市街地山林、宅地と状況が類似する雑種地に該当し得ると認定できるものの、各土地が隣接していないことなどから、一団の土地に当たるものとして1つの評価単位とみることはできないとも判断。結局、評価方法の異なる宅地が隣接している場合をも含めて一団の土地として評価することは、評価通達7のなお書きは予定していないと指摘して、納税者側の請求を斥けている。

(2014.01.24東京地裁判決、平成24年(行ウ)第89号)