土地の最有効使用は店舗敷地と認定、広大地評価を否認
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:07/07/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 相続で取得した土地の評価が広大地に該当するか否かの判定が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は最有効使用は店舗等の敷地であり、公共公益的施設用地の負担が求められる土地ではないから広大地には該当しないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人らが相続で取得した土地に対して広大地評価を行う一方で、貸家建付地評価を適用して申告したことが発端になったもの。この申告に対して、原処分庁が広大地評価を否認するとともに、貸家建付地評価をした敷地の全部が貸家建付地には該当していないと認定して更正処分等をしてきたため、納税者側がその全部取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 請求人らは、近隣にマンションが建設され、マンション需要が飽和状態の今、マンション適地には該当しないと主張するとともに、戸建住宅地とて開発する場合には公共公益的施設も必要になることなどを開発想定図を提示して主張、原処分の全部取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、対象となった土地等の事実認定を行った上で、最有効使用方法は土地の全体を一体的に店舗等の敷地として利用することであると認定するとともに、戸建住宅地等として分割して利用することは経済的に合理的ではなく、店舗等の敷地として使用する際には、道路等の公共公益的施設用地を負担する必要はないとも指摘。また、貸家建付地評価の可否についても、相続開始前の賃貸状況や空室期間中の営業努力等を考慮しても、貸家の一部が「一時的」に賃貸されていなかったという状況にはなかったと認定した上で、審査請求人らの主張を斥けている。

(国税不服審判所、2009.03.25裁決)