祖母から土地の買受けに対するみなし贈与認定を全部取消し
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:08/24/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 祖母から売買によって不動産を譲り受けたことが、相続税法7条が規定する低額譲渡、いわゆる「みなし贈与」に当たるか否かの判断が争われた審査請求案において、国税不服審判所は、売買価額が固定資産税評価額を参考に利用形態を考慮して決定されていることから、著しく低い価額の対価による取引にはあたらないと判断、原処分を全部取り消した。

 この事案は、祖母から売買によって土地を譲り受けたことが発端になったもの。この取引に対して、原処分庁は贈与税の申告がなかったことから調査を実施、贈与税の決定処分と無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求されていた事案だ。

 原処分庁は、譲渡者と審査請求人は直系的なつながりにあり贈与が最も生じやすい関係にある上、譲り受けた不動産の売買価額と近隣地の売買取引事例価額と比較しても1000万円を優に超える差額が生じていると指摘、審査請求の棄却を求めていた。

 これに対して裁決は、譲渡人の祖母は高齢となり、借入金返済のために譲渡したものであると認定。また審査請求人は、1)金融機関からの資金の借入れで取得し、2)売買価額は固定資産税評価額を参考に、利用形態を考慮して決定していること、3)祖母の土地は相続によって取得したものが長期間保有されていたこと、さらに4)建物の譲受対価と土地の譲受対価の合計額は相続税評価額の合計額を上回っていること、などを総合勘案すると、祖母と審査請求人の間で行われた土地の譲受は相続税法7条が定める「著しく低い価額の対価」による譲受には該当しないと判断、原処分を全部取り消す裁決を下した。

(国税不服審判所 03.06.19裁決)