出資額限度法人の出資持分は評基通による評価が妥当
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:09/04/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 出資額限度法人の出資持分は払込価額によって評価するのか、評価通達194-2によって評価すべきかが争われた事案で、国税不服審判所は定款を変更して退社時の出資の払込額及び解散時の出資の払戻額を払込出資額に限る旨を定めたとしても、出資持分は評基通194-2によって評価するのが相当と判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、相続によって取得して出資額限度法人の出資持分の価額を払込価額によって評価した上で申告したところ、原処分庁が評基通194-2によって評価し直して相続税の更正処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していた事案だ。

 審査請求人は、医療法人が定款を変更して出資額限度法人となったことから、定款の変更及び通常の出資持分の定めのある社団医療法人への移行が禁止されているのであるから、払込出資額によって評価すべきであると主張して取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、医療法その他の関係法令上、通常の社団医療法人への移行(後戻り)を禁止する規定がないことからすれば、出資額限度法人から出資持分の定めのある社団医療法人へ後戻りをすることが絶対的な拘束力を有して禁止されるものとは認めることができないと指摘。しかも、医療法50条が後戻りの手続きが法令や定款に違反しない限り定款の変更等が可能であると認められるとも指摘した。

 そのため、出資額限度法人が通常の出資持分の定めのある医療法人へ後戻りすることができないことを前提とした審査請求人の払込価額による評価額は理由がなく、評基通194-2による評価が著しく不適当であると認められる特段の事情もないと判断、審査請求人の主張を棄却している。

(国税不服審判所、2006.11.08裁決)