連帯納付義務の告知を義務付ける法令はないと判断
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:06/13/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 相続税の連帯納付義務の督促処分・差押処分の適法性が争われた事案で、国税不服審判所は連帯納付義務についての告知は法令で義務づけられておらず、その通知の遅延によって処分が違法となるものではないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人に相続税の連帯納付義務を課したことの可否が争点になっていたもので、共同相続人の一人が滞納している相続税について、原処分庁が相続税法34条1項に基づいて「相続税の連帯納付義務のお知らせ」をした後、国税通則法37条1項に基づいて督促処分をしたものの、督促後も滞納国税が完納されなかったため、国税徴収法47条に基づいて請求人の不動産の差押えをしたのが発端。既に相続税を納付していた請求人がこの差押処分を不服として審査請求、取消しを求めていたという事案だ。

 審査請求人は、1)請求人に対する時効中断措置が講じられていないため徴収権の時効が完成していること、2)連帯納付義務の通知が滞納発生から10年経過していること、さらに3)本来の納税義務者から徴収不足となったことの責任を請求人に転嫁するものであることを理由にあげて、連帯納付義務の督促処分・差押処分は違法であると主張していた。

 これに対して裁決は、相続税の連帯納付義務は自らが負担すべき固有の相続税の納付義務のほかに負う特別の責任であると解釈。その上で、本来の納税義務者に対する時効中断の効力は連帯納付義務者に及ぶこと、また連帯納付義務の告知を要する旨の法令はなく、その通知の遅延によって請求人に対する告知処分が違法となるものでもなく、連帯納付義務に係る督促処分、差押処分に違法性はないと判断、請求を棄却している。

(国税不服審判所、2005.06.27裁決)