埋蔵文化財包蔵地も土壌汚染地に準じた評価方法が妥当と裁決
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:12/02/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 意外に思えるが、通達にも情報にも規定されていないのが遺跡等の埋蔵文化財包蔵地の評価方法。この埋蔵文化財包蔵地の評価方法をめぐり、土壌汚染地の評価方法に準じて広大地評価を適用後に発掘調査費用等の減価要因80%を控除した評価額で更正の請求をしたことの可否が争われた事案で、国税不服審判所は原処分庁側の土地の個別事情に対する考慮の検討が足りないと示唆、審査請求人の更正の請求を一部認める裁決を下した。

 原処分庁側は、土地の減価要因(10%を主張)を控除後に広大地評価を適用するのが妥当と主張。つまり、広大地評価を適用後に減価要因を控除するのか、減価要因を控除後に広大地評価を適用するのか否かの考え方も争われていたわけだ。土壌汚染地にしろ埋蔵文化財包蔵地にしろ、ほとんどのケースが広大地。審査請求人の考え方が妥当か否かで評価額に多額の差が生じるため、納税者にとっても課税側にとっても重要な問題なのだ。

 土壌汚染地の評価方法は既に情報で明確化され、広大地の場合は広大地評価を適用後に減価要因を控除する考え方を通達担当者が明らかにしている。そこで裁決は、原処分庁側の時価に影響を及ぼす土地固有の客観的な事情の考慮が足りないと示唆した上で、埋蔵文化財包蔵地も土壌汚染地の評価方法に準じた評価が妥当とする裁決を下している。

(2008.09.25裁決)