当初の遺産分割に錯誤はなく、再遺産分割は贈与と認定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:10/02/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 当初の遺産分割協議の錯誤無効を理由に再度行った遺産分割協議に基づいて取得した財産が贈与によるものか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は当初の遺産分割協議に要素の錯誤があったとは認められないから贈与に当たると認定、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人の祖父の相続財産に係る遺産分割協議に錯誤があり無効であったとして、審査請求人を含む相続人が再度、遺産分割協議を行い、その結果、新たに財産を取得したことが発端になったもの。ところが、原処分庁がこの再度の遺産分割協議に基づく財産の取得は贈与と認定、贈与税の決定処分とともに、無申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、原処分を不服とした納税者が審査請求していたという事案だ。

 請求人は、養親である祖父(亡)の後妻(亡)と養親関係がないことを知らないで行った遺産分割協議は法律行為の要素に錯誤があり、養親関係がないことを知っていれば後妻に祖父の遺産を相続させるような遺産分割を行うはずはなかったと主張して、当初の遺産分割協議が錯誤によりそもそも無効であったと主張していた。

 これに対して裁決は、請求人と祖父の後妻との間に養親関係があったとしても、財産を後妻から相続するとは限らず、養親関係がないことを知っていたとしても遺産分割協議が成立するという必然性も認められないと指摘。その結果、請求人が主張する錯誤は遺産分割協議の動機に関するものであり、民法905条の法律行為の要素の錯誤に当たらず、結局は請求人の勘違いに過ぎないと一蹴。つまり、要素の錯誤を認めることができない以上は、財産は後妻の相続人から贈与によって取得したものと認めるのが相当と判断したわけだ。

(国税不服審判所、2005.12.15裁決)