相続した立体駐車場の分割は不自然で不合理分割と認定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:12/17/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 相続した立体駐車場付きの土地を3分割し、一番単価の高い土地に小規模宅地等の評価減特例を適用して行った申告をめぐって、遺産分割の内容が財産評価基本通達10項但書きの不合理分割にあたるか否かが争われた事件で、神戸地裁(紙浦健二裁判長)は一体として利用される駐車場の性格から共有とするのが自然と判示、納税者の主張を棄却した。

 この事件は、相続によって取得した地上6F、地下1Fの立体駐車場付きの土地を取得した3人の相続人が税理士のアドバイスを受け、遺産分割協議を拠り所に3分割されたものとして、一番資産価値の高い土地に対して小規模宅地等の評価減特例を適用して申告したことが発端。ところが、原処分庁が遺産分割協議の後、現実の分割はもとより分筆登記もされていないことから共有であると認定して小規模宅地特例の適用などを否認、更正処分してきたことから、原処分の取消しを求めて訴訟が提起されていたという事案だ。

 原処分庁は、土地全体が堅固で相当長期にわたって使用されると思われる駐車場の敷地として一体利用されており、一単位になっていると認められることから、財産評価基本通達10項が定める1画地の宅地に該当すると認定、全体を1画地の宅地として評価すべきであり、かつ不合理分割にあたると主張、納税者側からの取消請求の棄却を求めた。

 これに対して判決は、遺産分割協議書には相続人が取得する土地の割合的単位が記載されているのみで、具体的な特定区画が記載されておらず共有にあたると指摘。また、具体的な駐車場の敷地利用権も設定されておらず、3分割と認めることは極めて不自然であり、原処分は適法であると判決を下した。税賠につながることが危惧される事案でもあろう。

(2002.01.2 4 神戸地裁判決、平成10年(行ウ)第24号)