建物の所有が主たる目的でなければ借地権控除はNO
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:05/16/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 中古車展示場用地として賃貸借されていた土地の評価をめぐって、借地権控除の可否が争われた事案で、国税不服審判所は土地使用の主たる目的が建物を建造して所有することには当たらないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、中古車展示場用地として貸し付けていた土地を取得した相続人が、相続税の申告の際に貸宅地として評価して申告したところ、原処分庁がその評価を否認、更正の上、過少申告加算税を賦課決定処分してきたため、その取消しを求めてきた事案。つまり争点は、賃借権が存在するか否かにあったわけだが、先代の相続の際に、借地権控除が是認されていたことから、信義則違反の有無も争点になっていた。

 請求人は、相続した土地に係る中古車展示場等の敷地としての賃貸借契約の内容が、建物の建築を承諾していたこと、建物は堅固な建物であり建物表示登記がされていることから借地法の適用があり、貸宅地として評価すべきであると主張して原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決は、借地法1条の「建物ノ所有ヲ目的トスル」ことに触れ、地上に建物を建造して所有しても、それが借地使用の主たる目的ではなく、従たる目的にすぎない時は該当しないと解釈。その解釈にそって、賃借地の建物は、1)土地の一部を占めるに過ぎず、大部分が自動車展示場及び進入路として利用されている、2)永久建物とすることはできず建物の表示登記、保存登記が禁じられている、3)簡易な構造の建物で堅固建築物とは認められない、4)賃借人は土地の明渡しに際して立退料を請求しないと答述している事実等を認定、建物等の所有を主たる目的とする賃貸借とは認められないと判断、棄却した。

(国税不服審判所、2005.05.17裁決)