開発行為が終了していることを理由に広大地評価を否定
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:05/01/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 開発行為が終了している共同住宅用地が広大地に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから広大地には当たらないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、相続人である審査請求人らが、相続した土地が評価通達に定める広大地に該当するとして更正の請求をしたのが発端。しかし原処分庁は、広大地に該当しないとして更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その全部取消しを求めていたという事案である。

 請求人らは、相続した各土地は賃貸マンションの敷地となっているものの、1)地価公示法によれば賃貸マンションを建築することが地域の標準的使用とはなり得ない、2)地域の近傍地域が一群の戸建住宅分譲用地へと移行しつつあることから、現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地には当たらないと主張していたわけだ。

 これに対して裁決は広大地通達の趣旨を踏まえ、評価時点における評価対象宅地の属する地域の標準的使用に照らし、その宅地を分割することなく一体として使用することが最有効使用であると認められる場合は広大地に該当しないと解するのが相当であり、既に開発行為を了しているマンション等の敷地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地等は特段の事情がない限り広大地には該当しないと解釈した。

 その上で、審査請求された土地は既に開発行為を了した共同住宅の敷地として使用されており、近い将来において新たな開発行為を行うべき事情も認められないと指摘。加えて、その周辺地域の標準的な使用状況に照らして有効に利用されていると判断、広大地には該当しないものと認めるのが相当と判断して審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2012.04.21裁決)