相続時に建物が未完成でも貸家建付地評価が妥当と判示
カテゴリ:05.相続・贈与税 裁決・判例
作成日:04/03/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 相続で取得した商業施設関連建物の建設予定地は定期借地権付きの土地(貸家建付地)か、自用地であるかの利用区分が争われた事件で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)は事業計画の内容や土地の賃貸借契約の内容、法的性格、効力発生時期に加え、建物の使用目的等々からみて、建物等の敷地予定地として一体利用されていたとみるべきであると認定、貸家建付地としての評価を否認した原処分を取り消す判決を下している。

 この事件は、被相続人が所有する土地に、商業関連施設建物を建設して店舗営業することに合意して覚書を交わした後、賃貸期間20年の土地建物賃貸契約書を締結、生協側が地元調整、許認可手続等々を済ませて建設工事に着工していたもの。ところが、建物が未完成の段階で被相続人が死亡したため、相続人がその土地の所有権を取得するとともに被相続人が生協と交わしていた地位を継承、相続税の申告の際にはその利用区分を定期借地権付きの土地として評価を行って申告したことが発端になったものだ。

 これに対して、原処分庁が自用地であると指摘したため、貸家建付地として修正申告したところ、原処分庁が否認して更正処分をしてきたため、その取消しを求めて提訴したという事案だ。

 判決は事実認定の上で、建物完成後は生協が店舗営業するという事業計画全般にわたる総合的な契約であると指摘。その結果、事業契約の内容、契約内容、法的性格、効力発生時期、建物の利用目的、工事請負代金額等々を考えれば、相続開始時に建物が未完成で店舗が開店していないとしても、社会通念に照らしかつ客観的にみても、相続開始時には建物の敷地予定地として一体利用されていたと指摘、納税者の主張をほぼ認容する判断を下している。

(2006.09.13 大阪地裁判決、平成15年(行ウ)第76号)